本研究は、近現代の複数の作家の史実(歴史)を踏まえた作品を対象とし、史実を見極めながら、時代(史実)に対峙し発動される想像力と方法論の在りようを捉え、文学という器の可能性を探ります。近代から現代までを射程に置き、社会史や文化史と文学との接点と相違点を探ります。 取り上げる作家はフランス革命期から第二次大戦後までの一世紀半にわたる作家です。具体的にはドイツ古典主義を代表する劇作家フリードリヒ・シラー、19世紀スイスの作家コンラート・フェルディナント・マイヤー、20世紀前半期オーストリアを代表する作家シュテファン・ツヴァイク、20世紀前半の劇作家フリードリヒ・ヴォルフなどです。扱う作品は、ルネサンスから宗教改革を経て20世紀前半にいたる、主に戦時期を背景とした作品です。 このうち、本年度は複数の大学で研究の前提となる資料を調査し、作品および関連する歴史資料を探求し、研究の基礎を築きました。 個別作品としては30年戦争を背景とするマイヤーの小説『ユルク・イェナチュ』や、宗教改革期の対立を捉えたS.ツヴァイクの評伝『エラスムスの勝利と悲劇』、『カステリョ対カルヴァン』などを取り上げ、作品分析を進めました。 一冊の本に纏めるべく研究を進めています。 この間に執筆した書評でも、関連した本を取り上げて論評しました。
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