本研究は、近現代の複数の作家の史実(歴中)を踏まえた作品を対象とし、史実を見極めながら、時代(史実)に対峙し発動される想像力と方法論在りようを捉え、文学といり器の可能性を探ります。近代から現代までを射程に置き、社会史や文化史と文学との接点と相違点を探ります。 本年は今までの科研費研究の成果および甲間決算として、世界思想社より、『歴史と想像力』(単著、270頁)を上梓しました。 取り上けた作家はフランス革命から第二次大戦後までの一世紀半にわたる作家です。具体的にはドイツ古典王義を代表する劇作家フリードリヒ・シラー、19世紀スイスの作家C.F.マイヤー、20世紀前半期オーストリアを代表する作家シュテファン・ツヴァイク、20世紀則半の劇作家G.カイサー、F.ヴォルフとホルヴァートです。 考察の対象作品は、ルネサンスから宗教改革を経て20世紀中葉にいたる、主に戦時期を背景とした作品です。 個別作品としては英仏百年戦争を背景とするシラーのジャンヌ・ダルク劇『オルレアンの少女』、30年戦を背景とるヌイセーの小説『ユルク・イェナチュ』や、宗教改革期の対立を捉えたS.ツヴァイクの評伝『エラスムスの勝利と悲劇』、『カステリョ対カルヴァン』、G.カイサーのナチス政権化のドイツを描いた『英国放送局』などを取り上げ、論究しました。 ドイツの歴史文字に関する包拮的な研究の成果を著書として公刊することができた。
|