本研究は、近現代の複数の作家の史実(歴史)を踏まえた作品、歴史文学を対象とする。 史実を見極めながら、時代(史実)に対峙し発動される想像力と方法論の在りようを捉え、文学という器の可能性を探る。 対象作家はドイツ古典主義を代表するF.シラーから20世紀のS.ツヴァイクに及ぶ。主な研究成果として、『歴史と想像力』を世界思想社から刊行した。 『大学新入生に薦める101冊の本』(岩波)では、司馬遼太郎や藤沢周平、マサリクなどの著書を解説し、ドイツと日本の歴史文学の相違に関して考察した。 「ドイツ表現主義とビューヒナー」という論文では、19世紀前半期に活動したビューヒナーの作品が、20世紀前半に活動した表現主義の劇作家トラーとカイザーの作品へ与えた影響関係を考察した。
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