1.政治・宗教の文脈で考察されたアンドリュー・マーヴェルに関する先行研究の整理統合を開始した。散文作品ど詩作品への、特に今世紀に入ってから加えられた新たな文献学的注釈による知見を精査した。 2.また、Sir William Davenantによる叙事詩Gondibert: An Heroick PoemのThe Seconod Bookに関しては、マーヴェルとの関連で重要なCanto6についての分析を行った。礼拝行為としての「祈り」が、イデオロギー上の差異を顕在化させる反面、「賛美」がイデオロギー上の敵対意識を反映させないものである、というダヴェナントの指摘が、マーヴェルの詩作品「バミューダ諸島」の中で『詩篇』が扱われる際に、どのように表現されているかを考察した。 3.戦争詩としてのマーヴェルの'An Horatian Ode ubon Cromwell's Return fromIreland'に関する論考を執筆し、外国人研究者による校閲を受けた。これは、19年度の研究成果として「文学と戦争」をテーマとする表現技術プロジェクトセンター発行の『表現技術研究」第4号に発表された。 4.清教徒革命戦争前と戦中における王党派との対立、さらに、清教徒革命後のクロムウェル政権下における共和制支持者との確執の中で、クロムウェル支持派が非難、糾弾される際に、終末思想を含む「摂理」の概念がどのように変容し、詩作上の表現に影響を及ぼしているかをマーヴェルの'Upon Appleton House'及び'To His Coy Mistress'を分析することで考察した。外国人研究者によってこの論考の校閲を受けた。来年度はこれにさらなる考察を加え発表したい。
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