英国17世紀の文化は、思想史的には近代が始まるとされる時代に展開されたものである。その近代的な精神世界の中で旧来の文学的な表現形態が変化することは容易に想定できるが、特に、政治・宗教的な思想変化の中で文学作品がどのような表現上の変化を生じさせられ、さらに重要と思われるのは、当時、現代のマス・メディアが果たす役割を担っていた文学作品がどのように政治・宗教に影響を与えていたかを検証することが、全体構成の主要な軸となる。具体的には、英国の外交史に関わる文献と摂理、自由意志の概念に関わる宗教的、神学的文献の脈絡の中で、政治と文学の接点をなす重要な作品を残したアンドリュー・マーヴェルの詩及び散文を分析対象としながら、現代の平和学に資することを目的とする。
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