本研究は、研究計画最終年度(1年延長)となる。これまで、ヒサエ・ヤマモト、S・Iハヤカワがアフリカ系アメリカ新聞に寄稿したコラムについて調査してきたが、今回はユリ・コウチヤマを中心に、彼女のニューヨークにおけるアフリカ系コミュニティとの関係を調査した。 具体的には、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のリサーチライブラリーで日系二世の活動家、ユリ・コウチヤマについての資料を収集、コピーした。さらに、同大学、アジア系アメリカ研究センターのメアリー・ウエマツ・カオ氏と面談し、コウチヤマの娘であるアウディ・コウチヤマとのコンタクトが可能になった。これにより、現在、センターのライブラリーで資料の分類中であるとしてアクセスが認められていないセンター図書館のコウチヤマのアーカイヴに頼らず、ファミリー・レターの所在を確認できる可能性が出てきた。また、昨年、愛知県立大学において講演、ワークショップを行ったパフォーマンス・アーティスト、ダン・クワンの紹介で、1960年代、ニューヨークでコウチヤマと交流のあった日系三世のダンサーであり、女優でもある(ブロードウェイでも活躍)ノブコ・ミヤモトとの面談が可能となり、ここで、当時のコウチヤマやニューヨークの日系コミュニティのあり方について話を聞けたことは大きな収穫であった。とくに、コウチヤマが公の場で政治的スピーチする場合、常に原稿があったという指摘は、コウチヤマのスピーチ原稿からも彼女の「語り」を分析できる可能性を示唆する大きな成果であった。
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