本研究は、英語圏児童文学における<食>の表象を、歴史的、かつ共時的に探り、分析することを目的として、児童文学の中に描かれた食物とそれに対する態度、食べることにまつわる文化現象全体を対象とし、その歴史的変化と、人種、ジェンダー、階級文化においての差異を分析し、その意味と負わされた役割を探ろうというものである。そのために歴史的軸として、19世紀から21世紀までの英語圏の児童文学から例を抽出し、食とその身体性へのかかわりが、倫理的・教育的・宗教的背景の移り変わりと共にどう描かれてきたかを考察する。 20年度の研究会活動としては、一ケ月に一度、研究協力者と研究会を持ち、各自の研究結果について報告会を行った。また、2月には比較文化学の講師を招聘し、講演をしてもらったのち討論会を行った。 一方、個人としては、11月のイギリス児童文学学会で、『海辺の王国』を食とサバイバルの観点から国家と共同体のあり方に結び付けて考察する研究発表を行った。3月には昨年口頭発表した『不思議の国のアリス』についての考察を論文として公表した。
|