本研究は、初期キリスト教文書に出てくるすべてのマカリズムを個別的に詳細に検討した後に、全体を展望して一定の結論を得ることが出来た。初期キリスト教は旧約聖書から継受したマカリズム(幸いの宣言)という文学形式を用いるにあたっては非常に柔軟であり、修辞的目的に合わせて多様な文体を展開している。初期キリスト教のマカリズムは、内容的にも非常に多様で、異なったコンテクストにおいて、異なった意味付けのもとに臨機応変に用いられていた。このことは、マカリズム(幸いの宣言)が初期のキリスト教において、活ける宗教の言葉として形成発展したことを示している。
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