研究課題/領域番号 |
19520255
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研究機関 | 駿河台大学 |
研究代表者 |
松井 優子 駿河台大学, 現代文化学部, 教授 (70265445)
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研究分担者 |
越智 博美 一橋大学, 商学研究科, 教授 (90251727)
三好 みゆき 中央大学, 法学部, 教授 (60209963)
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キーワード | 英米文学 / 西洋史 / 比較文学 / ケルト / 英国:アイルランド:アメリカ合衆国 |
研究概要 |
本研究は、「ケルト」言説の再検討と大西洋をはさんだ概念の往来という視座から、「ケルト」をめぐる想像力と越境の問題を再検討することを目指すものである。これに基づき、松井は、「ケルト」の概念とスコットランド高地地方やスコットランドのアイデンティティの構築の問題を、ウォルター・スコットやC.I.ジョンストンらロマン主義時代の小説、ヴィクトリア時代の日記や新聞等を中心に検討し、その一部について2007年6月に学会で報告をおこなったほか、スコットについてまとめた著書で扱った。また、2007年7月末から英国オックスフォードにおける国際スコット学会での"Transtatlantic ScottI・II"のセクション等に参加して、発表者と意見交換をおこなったのち、エディンバラ他で資料を収集し、これらの成果を2本の論文にまとめた。越智は、南北戦争前後の合衆国南部においてナショナリズムが醸成された経緯を考察する準備として、8月上旬にワシントンDCの議会図書館で奴隷制擁護の論文を中心に収集したほか、12月のMLA年次大会では、大西洋をまたいだケルトという視点について貴重な知見を得た。また南北戦争前夜の女性と南部ナショナリズム言説との連動をふまえ、Christine Jacobson Carter著Southern Single Blessedness(2006)の書評を英文学会機関誌に投稿し終えたところである。三好は、アーノルドによる「ケルト」論の射程の解明をめざし、資料の収集整理・分析をおこなって、その成果の一端を論文にまとめるとともに、カトリック復興期のアイルランドにおけるオカルティスト・イェイツらの「ケルト」復興が内包する意味をふまえつつ、イェイツの宗教的位置を論じる論文を執筆した。また、9月の日本イェイツ協会大会に出席し、「ケルト」言説の大西洋往還とイェイツという課題の探求に有益な示唆を得た。
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