| 研究概要 |
17世紀中に4回二つ折り本で出版されたいわゆるシェイクスビア・フォリオで現存するコビーの中には,所有者・読者の書き込みが散見されるものが少なくない。書き込みの中には,本格的な本文編纂と注釈を搭載しはじめた18世紀のシェイク冬ピア版本から,フォリオとは異なる読みや注釈,作者評伝などをラォリオの当該箇所に書き写し.たものがあり,明星大学所蔵のサード・フォリオの例では,一貫してひとつの版本から注釈を書き写している。本課題はフォルジャー・シニィクスピア図書館所蔵のフォリオの書き込みを調査し,18世紀版本とフォリオへの書き込みの関係を示すデータを蓄積することで,明星サード・フォリオ・コピーの事例の相対化を図ろうとするものである。3年間を予定している研究の初年度にあたる平成19年度では,サード・フォリオ23冊中で18世紀から19世紀初頭の筆跡による書き込みをもろとされる6冊を選び出し,閲覧室にて全ページを丁寧に観察した。それらは,フォルジャーのコピー番号では,2,3,13,20,22,23と番号付けされているサード・フォリオでいずれも『ロクライン』まで含む2刷りである。このうち20,22,23については補助資料として依頼したマイクロフィルム果,19年度の研究成果として,フォルジャーCopy20には,なり強く認められ,しかも単独の筆者による書き込の到着をまってより詳細に検討をした結みがみ.られるという発見があった。
なお,このコピーについてはオリジナルの損壊じ泥部分ポウプ本(1723-25年)との関連ががを補う手書きテクストが随所に挿入されて おり,それらの出典と転写精度も調査する必要があるので,20年度も継続して調査研究対象としたい。
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