研究概要 |
ベルリン・ダダイズムの中心的芸術家であったジョージ・グロッスとヴァルター・メーリングについて資料収集し、ベルリン・ダダイズムの主要活動期間である1917-1920年頃に創作された作品について詳しく分析した。グロッスの場合は主として雑誌『ノイエ・ユーゲント』およびマック出版社発行の諸雑誌に発表された大都市をテーマとする詩作品が研究の対象となるが,画家として描いた美術作品における立体派的な側面、つまり多次元性、同時進行性などが,文学作品の中にも技術上の主要な傾向として表現されていることが判明する。メーリングの場合は、「シャル・ウント・ラオホ」に出演して発表したキャバレー・ソングが今回の研究の対象作品となるが,これらは素材として第一次世界大戦終了時の大都市ベルリンの混乱した社会状況を取り上げており、ここでも未来派的な同時進行性が表われている。こうしたベルリン・ダダイズムの技法は、当時のベルリンの社会状況と密接な関連にあることが明らかになってきた。平成19年度はこの二名の芸術家の主要詩作品を個別的に分析して。きたが,今後、平成20年度は時間的経過に従って、主要作品を位置づけ、ベルリン・ダダイズムの特徴をまとめたい。
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