(1)18世紀フランス文学研究の中で、これまでリベルタン文学はあまり注目されてこなかった。しかしフランスではプレイヤッド版のRomanciers libertins du XVIIIe siecle(『18世紀のリベルタン小説家』)が出版され、ようやく学問対象として認知されつつある。こうした背景を踏まえ、日本であまり紹介されていないリベルタン小説を紹介するとともに、フランスで今なお発掘されていないリベルタン小説を明るみに出すことを目的とする。また、リベルタン小説にはさまざまな版画が挿入されていることが多いが、こうした版画研究はほとんど手つかずの学問領域であり、版画を分析するとともに紹介する目的ももつ。さらに、フランス18世紀の版画を、江戸時代の日本の版画と比較研究をすることで、日本とフランスの版画の比較研究も目指している。より広い射程として、版画を通しての比較研究から、日本とフランスの文化比較の可能性もあると考えている。
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