研究概要 |
今年度は研究初年度として以下の研究を行なった。 1.早稲田大学中央図書館に計5回(10月,11月,12月,1月)通い,19世紀の美術雑誌Art Journalの第一巻(1849)から最終(1912)までを全て閲覧し,「趣味」「美術教育」「インテリア」といったキーワードに関する記事を収集した。当初の予想通り,1870年前後が一つの大きな転換期となっており,そ以前は個々の「という形で認識されていた家具類がこの時期を境にインテリいう空間的集合体として認識されているごとが判明した。その具体例として1870年以降は豪邸拝見の記事数が増えることが判明した。また1870年から室内装飾(house decoration)の記事も散見されるようになる。それまでは一般的な趣味の向上に関する記事が多く見られるが,70年代を境に個人の住宅における装飾に関する記事の割合が増す。しかし1900年ごろから室内装飾や趣味の向上に関する記事は減少し,変わって芸術としての美術にういての記事が増えていた。いわゆる工芸と芸術が分岐する転換期がこのあたりと考えられるかもしれない。 この調査結果は次年度に検討する小説の表象の変化を考慮する際に,考察の基軸となるであろう。 2.British Libraryや国内の複数の図書館から関連文献の複写を取り寄せ,またLiterature On Lineを初めとするオンラインデータベースを利用し関連する論文を収集した。 3.上記の方法で収集した献から論文に使えそうな引用個所を,学生の協力を得て文献データベース化ソフト(End Note)に整理し,論文作成の準備を行なった。
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