本研究は、収録字の配列方法という観点より、中国辞書史を考察しようとしたものである。漢字には字形・字音・字義の3つの要素があり、このおのおのを配列の手段、換言すれば検索の手段とする伝統的な辞書が存在する。まず字義により配列された『爾雅』が最初に成立し、ついで字形により配列された『説文解字』が成立、字音により配列された「声類」・「韻集」の成立は最も遅れた。その理由は、配列手段の分析の難度の高いものほど、その成立が遅れたのである。また、字形を配列の手段とする辞書で、部首及び収録字の双方を画数綬に配列した辞書は、従来『字彙』(1615年)とされてきたが、それに先んじて『洪武正韻彙編』(1602年)のあることを初めて指摘した。
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