研究概要 |
(1)鈴木道男(1)現代ザクセン人文学について,作家のアイデンティティに基づくシステマティックな整理を行った。(2)トランシルヴァニア・ザクセン人の諸研究施設等の援助を受け,ザクセン人作家たちにインタビューを試みた。 (2)山下博司(1)1997年に取材したシンガポール政府主催の「作家週間(Writers'Week)を再取材し,国家事業としての文化政策(art administration,art management)の中で,中国語,タミル語,ムラユ(マレー)語,英語の文学作品や文学活動の取り上げられかた,文学者や作家たちの扱いと顕彰を調査した。(2)(1)により,東南アジアの近代化の進んだ移民社会におけるディアスポラ文学につき,その「再編」「再構築」の文脈から考察する資料を得た。 (3)藤田恭子(1)アウクスブルクのブコヴィナ研究所ならびにミュンヘン大学附属南東ヨーロッパ文化研究所で,ブコヴィナのユダヤ系ドイツ語文学および東欧革命後の受容に関するデータを調査・収集した。(2)ペーター・モッツァン博士(南東ヨーロッパ文化研究所)と面談し,情報収集と意見交換を行った。 (4)佐藤雪野(1)ライネロヴァー作品の収集と検討。これまで出版されたライネロヴァー自身の著作および彼女が他の作家の作品に寄せた前書きなどを収集し、検討した。(2)ライネロヴァーの生きてきた時代背景の検討。ライネロヴァーの生きてきた20世紀史を,中央ヨーロッパを中心に検討する。そのための資史料収集を行った。 (5)総括的事項 個別テーマについて収集した資料や情報を精査,問題点を整理した。その上で平成19年11月以降,コロキアムや研究会を公開で実施し,ア)各マイノリティの社会的状況を構成している諸要因。その共通点と相違点,イ)各マイノリティにおけるアイデンティティ再編の特徴,および上記社会的要因との関係,ウ)各ディアスポラ文学の「祖国」における受容状況の特徴と社会的要因との関係等について,成果を相互に比較,検討しあった。
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