研究概要 |
(1)鈴木道男フィールドワークの結果を踏まえ、8名ほどの作家を事例とし、作品と作家のアイデンティティの分析を通じて、トランシルヴァニア・ザクセン人たちの特殊なディアスポラ性に考察を加えた。また、成果を論文にまとめ,報告書に掲載した。 (2)山下博司シンガポールにおけるインド系の状況と対比させるため, 中央ジャワの州都スマランで, 中国語の使用が著しく制限されているインドネシアの華人系の文学活動について聞き取り調葦を行った。収集した資料や書籍をもとに、分担課題につき論文、報告書に纏めた。 (3)藤田恭子収集した資料をもとに, ドイツ語圏におけるブコヴィナ像の変化の経緯をまとめ, その政治的社会的意味を解明した。成果の一部を, 報告書に掲載した。 (4)佐藤雪野前年度に引き続き、作品の検討及び時代背景の検討を続けた。また、ライネロヴァーと交流のあったドイツ語作家に検討対象を拡大し、関連論文の執筆及び口頭報告を実施した。 (5)総括的事項 コロキアムと研究会を定期的に実施し, 分担テーマの成果を比較, 検討しあった。それにより, グローバル化がディアスポラ・アイデンティティをどのように変え, それが文学にどのように反映されているのか, または現代の文学がアイデンティティにいかなる影響を与えているか, また「祖国」との関係をどのように変容させているのか, を明らかにし、報告書に纏めた。
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