本研究は、ヨーロッパ文学の影響を強く受けた日本の近代文学が、韓国の近代文学に及ぼした影響関係を明らかにすることによって、日本近代文学の「媒介者」としての姿を浮き彫りにすることが目的である。最終年度である本年度においては、2年間にわたって行った基礎研究をもとに、日韓両学会で2回発表し、論文を1本執筆した。さらに今年度分を含め3年間で行った研究内容を総括し、その報告書をまとめた。具体的な内容は以下の通りである。 (1)具体的な内容 まず、論文執筆においては、「第33回国際日本文学研究集会会議録」(『国文学研究資料館』2010年3月、日本)に「一人称小説が映し出す媒介者としての日本文学-国木田独歩の一人称小説を手掛かりとして」(31頁~70頁、査読付)を掲載した。 次に、学会発表としては日本と韓国両国で2回行った。 (1)韓国では、「東アジア日本学会・東北アジア文化学会2009年度秋季国際学術大会、2009年10月17日」にて「媒介者としての日本文学-国木田独歩を手掛かりとして」について発表した。 (2)日本では、国文学研究資料館主催の「第33回国際日本文学研究集会」(2009年11月28日~29日)にて「一人称小説が映し出す媒介者としての日本文学-国木田独歩の一人称小説を手掛かりとして」について発表した。 最後に、3年間行ってきた研究成果をまとめて報告書を作成した。 (2)意義 以上、本年度を含め、3年間にわたって行った基礎研究及び論文執筆と研究発表は、これまで日本と韓国両文学界が指摘できなかった日本文学の新たな可能性を浮き彫りにしたものとして、日韓両国から高く評価された。
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