1.調査・収集:ハワイ大学マノア校ハミルトン図書館(太平洋コレクション)及びシンクレア図書館で対象地域(フランス領ポリネシア、クック、トンガ、サモア、ニュージーランド)の讃美歌集、讃美歌に関する研究論文の収集、讃美歌の歌唱を記録した録音を収集した。 2.フィールドワーク:アメリカン・サモアで教会音楽の現況及び学校音楽教育の現況を調査。また現地のネイティブの音楽研究者クキ・ツイア・ソソポにインタビューを行った。 3.収集した資料の整理:収集した讃美歌集を電子ファイル(PDF)化し、讃美歌集の目録と曲目(チューン・ネーム)のデータベースを作成した。 4.分析考察:以上によって、ポリネシアの讃美歌とミクロネシア及び東アジアのそれとの比較が可能になり、これらの地域の近代歌謡に及ぼした讃美歌の影響を実証的に比較する基礎が出来た。 アジア太平洋近代音楽の西洋化というプロセスを推進した最大の原動力はキリスト教宣教による讃美歌の伝播だったという仮説のもとに、アジア太平洋地域の音楽が西洋化したプロセスが各地でどうのように進行したか、共通点は何か、相違点は何か、共通であったり、相違してたりした原因は何か、が研究の主要な目的である。方法として、ポリネシア、ミクロネシア、東アジアの讃美歌(曲)を比較した。これらの地域の讃美歌集に記載された曲目(チューン・ネーム)のデータベース作成を作成し、ポリネシア、ミクロネシア、東アジアの讃美歌曲がどれくらい共通するか、またどれくらい相違するか調べた。その結果、主に日韓の東アジアの讃美歌曲はミクロネシアとポリネシアの中ではハワイと共通するものが多いことが分かり、これに比べるとハワイを除くポリネシアの讃美歌曲との関係が比較的薄いことが分かった。
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