本年度は、『太平広記』『古小説鉤沈』の厳密な読解を行いながら、中国古小説の話題事項集成の研究を進める目的で、以下の作業を実施した。 1.すでに類話集成のあらすじを作成している巻1〜55の「神仙」部、巻291〜357の「神」「鬼」「夜叉」部、巻406〜417「草木」部について、研究補助者の協力を得て、一話ごとに話題・あらすじを構成する事項を抽出する作業を行った。 2.『太平広記』許自昌本の写真版を購入し、各本との字句の異同を検討する際の参考とした。 3.『太平広記』巻283〜287「幻術」部の訳注、『古小説鉤沈』所収『幽明録』の訳注作業を進めた。 4.作成済みの『太平広記』巻56〜70「女仙」部の訳注について、見直し作業を行い、それをパソコンに入力して類話事項の抽出作業が可能なデータにした。 5.研究会メンバーである留学生の研究補助者の協力のもとに南開大学の寧稼雨教授から、六朝小説に関するデータを受け取り、類話項目を検討しながら、日本語に直す作業を行った。 来年度も、今年度と同様の作業を進め、『太平広記』500巻の内、250巻分について、話題事項の整理を行うとともに、訳注作業をより加速させる予定である。
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