1.『聖諭宣講の演芸化に関する研究』(仮題)を執筆するためにこれまでに執筆した聖諭宣講、漢川善書に関する調査研究論文を整理し、第一章「序説」(善書の由来、善書研究史、本書の要旨)、第二章「清代における各様の宣講」、第三章「湖北における善書の上演」、第四章「漢川善書の文体と思想」、第五章「結論」を執筆中である。 2.「漢川善書」の上演を調査し、9月に市内の演芸館で上演された『碧玉簪』と春節に王爺廟で上演された『巴斗冤』を記録した。国家無形文化財に指定されたことによって、漢川善書は継続的に上演され、芸人が保護され、漢川文化館は野外での上演のために固定舞台を制作したことがわかった。 3.山口大学国際学術フォーラム「東アジア伝統芸能の世界」(11月15日)において「漢川善書」を紹介し、日本と比較して、日本では聖諭宣講は演芸の形式まで発展することはなく、「六諭衍義大意」が寺子屋で教科書として使用され、現在に伝承されていることも紹介した。また台湾には「唸歌」という民衆教化を目的とする説唱文学が文化財に指定され、老芸人が伝承に努めていることを明らかにした。 4.これと関連して日本には説唱文学は伝来せず、中国文学は日本語による訓読法によって解釈されたことを、包公伝説を通じて明らかにするため、マレーシア新紀元学院の中国古典文学国際学会で「日本古典文学中的包公案」(9月7日)と題して発表し、また武漢大学・湖北経済学院・武漢理工大学においても同演題で発表した。 5.国内外の図書館において歌唱形式、講演形式の宣講関係資料を多数閲覧した。
|