研究の第一年目である本年度は、まず、主たる研究対象となる『オデュッセイア』、『アエネーイス』、『神曲』の冥界場面について、各種校訂本、注釈書を用いて文献学的な基礎的調査を進めた。 また2007年8月7日から8月17日には、科学研究費補助金を用いて、フィレンツェおよびオックスフォードヘの研究旅行を実施した。フィレンツェにおいてはサンジョヴアンニ洗礼堂、ダンテの家博物館、サンタクローチェ教会などで、『神曲』の著者ダンテに関する現地調査とともに文献収集を行った。オックスフォードでは、ボドレイアン図書館において主に『オデュッセイア』と『アエネーイス』に関する文献調査および文献収集を行った。 以上の基礎的文献学的調査、研究旅行による現地調査、文献調査、文献収集の成果を、国際基督教大学での冬学期一般教育科目「西洋古典の世界」に反映した。 さらに、2008年2月16日に科学研究費補助金を用いて、研究会「西洋古典とダンテ『神曲』における冥界描写をめぐって」を開催した。研究代表者佐野好則による口頭発表「『オデュッセイア』第11巻の冥界場面の構成について」、招待講師日向太郎による口頭発表「ダンテ『神曲』地獄篇第7歌における運命の女神について」を実施し、参加した研究者と発表内容について質疑応答を行った。 さらに、2008年3月18日より3月31日まで、科学研究費補助金を用いてオックスフォードへの研究旅行を実施し、ボドレイアン図書館にて、主に『オデュッセイア』と『アエネーイス』に関する文献調査と文献収集を実施する。
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