・情報交換・情報収集用、文献整理用のパソコン・システム、及び経年劣化を受けている破損し易い貴重な文献の書影等のデータを蓄積する為の画像デジタル処理機材を、報告者の所属機関の個人研究室に設置し、研究環境を整備した。 ・以下の(1)(2)(3)に見る通り、「カーマ・シャーストラ」関連文献の調査・収集を遂行し、それと並行して資料の解読・同定を進め、資料相互の関係を關明しつつ、整理した。(1)わが国の「カーマ・シャーストラ」の発見と受容に力点を置いた今年度は、その中心となる最初の和訳『カーマ・スートラ』の翻訳者たる大隅為三とサンスクリット原典からの最初の和訳『カーマ・スートラ』の翻訳者たる泉芳環の両名に関して重点的に調査を進め、「カーマ・シャーストラ」の発見・受容が日本近代に果たした意味・役割を重層的に考察した。中でも日本近代黎明期の代表的なインド学者である泉芳環の業績を、その経歴までも含めてほぼすべてにわたって調査し、文献に関しては、購入・複写を通じて網羅的に収集して、精度の高い著作目録を作成した。成果の一部は近々論文として発表する予定である。(2)報告者による準備研究の成果の一端である外国語・邦語「カーマ・シャーストラ」文献リストの充実を図り、未入手、未調査の文献の調査をさらに進めた。(3)「カーマ・シャーストラ」原典・翻訳などの基本典籍を、スキャナー等でコンピュータ内に蓄積し、コンピュータでの利用を可能にした。また稀襯本に関しては、書影データ等を蓄積した。その一部は研究冊子の中で公表する予定である。
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