本研究は、韋君宜の全著作と関係資料を読解・分析し、個人(韋君宜)が歴史にいかに関与しうるのか、個人(韋君宜)の証言は歴史の中でいかなる意味を持ちうるのか、また文学(韋君宜の全著作)が歴史に対していかなる役割を果たしうるかについて考察しながら、韋君宜にとって「真実」の中国革命史を再構築しようとするものである。 本年度も引き続き、国内外の韋君宜と中国革命史に関する資料を収集し、韋君宜の著作と関係資料の読解と分析を進めた。この成果に基づき、研究実施計画に記したとおり、韋君宜から見た、中華人民共和国成立から文革期まで(1949〜78年)の中国革命史再構築に取り組み、12月5日京都大学人文科学研究所附属現代中国研究センターの共同研究班「中国社会主義文化の研究」(班長:石川禎浩)において、「韋君宜と『文芸学習』について」の題目で、研究報告を行なった。この報告をもとに、同班の研究報告論文集に応募すべく、現在、論文を執筆中である。 さらに、2007年11月30日に行なった京都大学人文科学研究所附属現代中国研究センターの共同研究班「20世紀中国の社会システム」(班長:森時彦)における研究報告「韋君宜から見た中国革命史再構築の試み--作家、編集者、革命家の視点から」をもとに、論文「韋君宜の著作における『歴史』の意味について」を執筆した。本稿は、同班の研究報告論文集に収録され、2009年5月4日に発行される予定である。
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