本研究の目的は、スペイン国内に残存することが確認された中国近世白話文献のうち、特に学術的価値が高いと推定される8種類の作品につき、その全文データベース作成し、ホームページ上で公開することによって、各々の文献のもつ版本史上の位置を究明するための基礎資料を斯界に提供することである。 平成19年度は二つの目標を設定した。一つは、全文データベース公開のための、ハード面における環境を整備すること。二つ目は、公開予定の8種類の文献のうち、(1)『明解増和千家詩集』(2)『説岳全伝』.(3)『飛龍伝』(4)『好逑伝』について、他の版本との比較を行った後、順次全文の入力作業を進めることである。 これら二つの目標のうち、環境整備については、既に自分自身のホームページを立ち上げ、研究課題に関連する記事を公開した。また、上記文献に関する全文データベースの作成に関しても、白話文献処理に詳しい数名の大学院生に協力を依頼して、鋭意作業を進めつつある。準備ができ次第、逐次公開する予定である。 原文の入力作業にあたっては、日本国内に残存する同名の書籍との比較対照をも同時に行う必要があるため、当初予定していた期日よりも余計に時間を要することが判明したが、本研究の最終年度までには、ほぼ予定した作業を終えることができるものと考える。 日本国内に残る同名漢籍との比較検討作業を行うため、本年度は東北大学図書館及び内閣文庫を訪れ、必要な資料を閲覧・収集した。次年度に予定している入力作業に向けて引き続き本文の比較検討を行い、全文データベースの作成に役立てる所存である。
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