西欧諸国の公共図書館や修道院図書館には、かつて中国で出版され、その後宣教師などの手を経て現地にもたらされた古典籍が今なお数多く保管されている。本研究は、それらのうち、特にスペイン国内に残存する中国の古典文学作品を調査し、学術的に重要と思われるものについて現地でマイクロフィルムを入手し、その全文をデータベース化してホームページ上で公開することによって、従来あまり注目されることのなかった価値の高い文献を紹介し、今後の研究の更なる進展に寄与することを企図したものである。 具体的に述べると、先ず、調査の対象とした機関は、首都マドリッドにあるスペイン国立図書館、及び、トレドの大聖堂内に付設されている聖堂参事会図書館、この二つの機関に所蔵されている中国の古典文学関連資料を精査し、その中の重要な文献八点を選び出し、その全文データベースを作成してWeb上で公開したものである。 次に、公開対象とした資料は以下の通りである。 (1)説岳全傳(2)飛龍傳(3)好逑傳(4)繍像今古奇観(5)繍像龍図公案(6)繍像第三才子書(7)雷峰塔(8)千家詩 公開の形態については、(8)の千家詩についてのみ、原書の影印版と、それを新たにデータベース化したものとを対照して示し、それ以外の文献については、データベース化した資料のみを掲載することとした。
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