本研究の目標は、極小理論の観点から、経験的手法で様々な言語(英語、日本語、スペイン語など)の多岐に渡る言語事実を調査することによって、以下にあげる3つの疑問点を解明することにある。 (1)連鎖の存在を示唆する経験的証拠と言うのは、どういうものなのか(連鎖の概念は特定の言語事象の分析にどのぐらい中心的な役割を果たしているのか)? (2)どの様な言語要素が連鎖を構成するのか?連鎖は、どの様にして、理論で定義されるべきなのか? (3)連鎖の形成と解釈を司るメカニズムというのは何であるのか? 又、これらの疑問点に取り組む際に、本研究は以下の項目を下位研究課題として構成されるものとする。 (1)量化詞作用域の曖昧性・選択・再構築効果の性質 (2)コントロールと前方照応の性質 (3)拡大投射原理(EPP)、主語の連鎖、主語の解釈の性質 (4)左方周縁領域(統語構造図作成計画の一環)への移動の性質 本研究の目的は、これらの言語事象を理論的、経験的な視点から解明するのに貢献し、(1)-(3)の疑問点に明確な解答を与えることにある。
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