中国の17世紀から20世紀初期の満洲族統治下における民族、階級、地域間の言語交錯と公用語の関係を調査し、内包する公用語の脈流を視座に、清朝の言語政策及び社会変動に係わる漢語の多層性について検証した。清代における社会的動向と言語の関係について、(1)「少数派民族による多数派民族の支配、共生」と「満洲族による支配という特殊状況下での漢語への影響」、(2)「満洲族の華化」と「公用語への指向性」、(3)「外交交渉のための公用語の必要性」と「南京官話・北京官話の対峙」、(4)「政治制度に関わる特殊な階層」と「階級方言の成熟及び通用化」、(5)「清朝の政治的統治力の盛衰」と「言語の関係」という5つの観点から分析を行った。
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