研究概要 |
平成19年度に行った研究およびその成果は以下の通りである。 1.アリ語の文字化に関する研究 エチオピアにおいてアリ語の文字資料の収集を行った。その結果,識字教育用のパンフレットと,プロテスタントのカレ・ヘイウォット教会が翻訳した新約聖書を入手することが出来た。前者について作成者,作成時期などについて現地で調査を行ったが,詳細を明らかにすることは出来なかった。ここでのエチオピア文字表記のあり方を含めて,このパンフレットを巡る諸問題の解明は20年度に行うこととした。また,後者については作成した教会が現在進めている旧約聖書翻訳に関して、翻訳者グループと特にアリ語を文字化する際の問題点について議論を行い、現在なされている唯一の文字化の試みの特徴、問題点を明らかにすることが出来た。 2.エチオピアにおける文字使用の歴史的な流れの解明 エチオピアにおける文字使用の流れを歴史的にたどり、その特徴を明らかにする基礎作業を行った。大きく(1)19世紀から20世紀初等にかけてのエチオピア近代化と、(2)20世紀末の社会主義体制成立‐崩壊そして連邦政府の樹立という2つの時期を軸に大きく3つの時期に分かれることを明らかにした。 3.オロモ語の無文字化のプロセスの研究 前項との関連の中で,エチオピアでの無文字言語の文字化の流れの中で重要かつ象徴的な位置を占めるオロモ語の文字化の様相を明らかにするために、今年度はオネシモス・ナシーブの果たした役割を中心に考察した。 4.『アムハラ語入門』の作成・刊行を行った。日本語によるアムハラ語入門書の作成は,エチオピアをフィールドとする研究者のみならず,ボランティアなどに大いに裨益するところがあり,社会貢献という面でも意味のある仕事と考えるものである。
|