研究概要 |
平成21年度に行った研究およびその成果は以下の通りである。 1. アリ語の文字化に関する研究:(1)<アリ語テクストの言語学的分析>おそらくアリ語の文字化資料としては最初のものと思われる識字教育資料の分析を,昨年度に引き続き行い,一通りの完成を見た。ただし,その過程で本資料に用いられた方言はこれまでの調査協力者の方言とは異なる事が明らかになったため,今後その点からのチェックを行った上で成果を発表する予定である。(2)<アリ語文字化資料の収集,資料集の刊行>エチオピアにおける調査の際,アリ語文字化資料を更に8点入手する事が出来た。これらは(1)で取り上げた資料とともにアリ語研究の基礎となる重要な資料であり,かつ入手が困難である為,これからのアリ語,アリ文化研究者のアクセスを容易にするために,解説を付し『アリ語資料集』として印刷,刊行した。 2. エチオピアにおける文字使用の歴史,現状,問題点に関するまとめ:これまでに得られた知見に基づき,標記に関する論文を発表した。これにより,エチオピアにおける文字化の様相とその問題点を,まだ十分とは言い難いが,ある程度まとまった形で提示できたと思う。ただ,特に現状については自体が流動的であり,全体像が掴みにくく,この点を更に明らかにする必要がある。今後も引き続き文献資料ならびに現地調査によりこの点を補完するための作業を行っていきたい。 3. 『アムハラ語入門』の続編作成に向けての作業:単に言語の研究者だけではなく他の分野,またNGOなどの非言語学専門家にも使える形での入門書として一昨年刊行した『アムハラ語入門』ではカバーできなかった内容を盛り込んだ続編作成のために引き続きデータ収集を行った。来年度の刊行を目指している。
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