研究概要 |
研究の目的は次のものであった。 1.(1)~(4)の4種類の二次述語構文を統一的に扱うことにより、「結果構文」という不当に限定的な構文カテゴリーを廃する (1)使役的二次述語(2)移動先二次述語(3)非使役二次述語(4)同時的二次述語 2.(5)~(7)に説明を与える (5)二次述語部分は動詞の下位範疇化に関与しない(6)二次述語部分は何らかの意味的付加が見られる(7)日本語ではこれらの構文は(助詞句では)不可能である 我々の結論は次のものである。 1.(1)~(4)に共通するものは,「2つのイベントが並列していること」「2つめのイベントは動詞を用いずに表現されていること」の2点である。この2つの共通点は,2つめのイベントが『結果』を表すかどうかで違う分類にすることに大して意味はないことを示している。 2.(5)について:2つめのイベントは,1つめのイベントと同時に成り立つという並列構造にはなっているが,2つめのイベントが統語的に1つめのイベントの動詞に依存しているわけではない。そのため,その下位範疇化に関与しない。 (6)について:2つのイベントが並列しており,かつ両者の間に接続詞がない場合,両者の関係は,2つのイベントの間で【同時・継起・原因→結果】のいずれかが読み込まれることによって,2つのイベントが並列していることが認可される。 (7)について:英語の前置詞には意味があるが,日本語の「に」には意味がなく機能を示すのみだからである。
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