本研究課題は、日本語の大規模な電子資料(コーパス)を用いて日本語文法の未開拓の基礎的な諸問題を考察することにより、(1)電子資料に基づく日本語研究の基盤の形成と発展に寄与するとともに、(2)電子資料利用の目的である日本語研究そのものに対して実質的な貢献をもたらすことを目的としている。 今年度は、国立国語研究所で構築中の『現代日本語書き言葉均衡コーパス(BCCWJ)』、自作の巨大な規模のWebコーパス、国会会議録のデータ、Yahoo! 知恵袋ベータ版データといった、最近利用可能になった各種の電子資料を用いて、日本語又法の基礎的な諸問題の考察を進めた。 まず、電子資料に基づく日本語研究の基盤の形成と発展への寄与という目的については、前年度にも行ったサーチエンジンの比較と評価をさらに進め、論文の形で発表した。 次に、コーパスを用いた日本語研究そのものの発展という目的については、日本語コーパスからのコロケーション情報の抽出手法の開発とその基礎となるコロケーシヨン概念の再検討を重点的に行った。その中で、コロケーションの一種として、研究代表者がcircumcollocateと命名した概念に着目することの必要と有効性などを論じた。その成果は、オーストリアで開かれた国際計量言語学会で発表し、近々論文の形で出版予定である。 研究成果の国外への発信という点では、北京日本学研究センターでの講演、オーストリアで開催された学会での研究発表(上述)、イタリアの学会での研究発表を行った。
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