研究概要 |
1)ドイツ語と英語,日本語の数量表現について先行研究を検討し,主に可算名詞と不可算名詞(集合名詞,物質名詞)の区別について研究した。中でも特に,ドイツ語の数量表現に関する先行研究を精査し,Webのデータやコーパス資料を分析した。具体的には,数量句と基礎名詞が結合する表現における名詞句の数(単数一致か複数一致か)の問題を検討し,単数数量詞と複数名詞及び,複数数量詞と単数名詞の場合に即して分析した。その結果,規範的文法では説明できない揺れが名詞の指示対象の把握の仕方から説明できることを見出した。これを論文「Zwei Kilo Mehl(sind/ist)viel zu viel fur den Teig.-「数量句+基礎名詞」の数はいかに決まるか」にまとめた(筒井友弥との共著)。 2)Quine,Chierchia,Krifkaらの可算名詞と不可算名詞の研究を検討し,ドイツ語・英語などのヨーロッパ言語と,日本語の名詞と数量表現の関係を比較した。そこから,日本語にも可算・不可算の区別が存在することを見出し,この区別をアンケート調査でも確認した。この結果を論文「名詞句の可算性と不可算性の区別-言語比較の観点から」にまとめた。 3)日本語には数量表現と名詞について「1冊の本」「本1冊」のように2つの語順があるが,中国語にも類似した語順が見られ,そのふるまいについて分析した(Xiaochun Tengとの共著)。 この結果を踏まえ,最終年度の20年度には,ドイツ語・英語・日本語などの言語の数量表現を総体的に比較対照し,成果をまとめたい。
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