研究概要 |
2007年度は,計5回の北京調査により,次の四つの調査課題((1)(2)(3)(4)),二つの研究課題((5)(6))のそれぞれについて調査と研究を進めた=(1)北京白話報(北京評書を含む)の調査/(2)影戯影詞の調査/(3)満漢供詞の調査/(4)電視劇本の調査/(5)清民語庫の構築/(6)清民語料の解析その他=. 特に,課題(3)では,中国第一歴史档案館(「一館」)所蔵の刑部档案のうち直隷・湖廣・江蘇司の「京畿地區《現審》档案」の簡易目録(1999-2007年の予備調査により作成)にもとづき,その一部档案から事件関係者の供述「口供」と供述書「供詞」の原件を抽出抄写する作業を継続中である,たとえば,乾隆56(1791)年や嘉慶9(1804)年の「偸盗」文書のうちに,旗人/民人関係各位の供述書「供詞」の原件とその直接引用が存在することを確認し,そこには,代名詞《我》、動詞の接尾辞《了》《的》の後ろに目的語を置く《V了O》《V的O》,句末助詞《ni》(<〜する>),半句末助詞《就是了》(<〜しただけのこと>)など通常の公文書とは異なる口語的な語法特徴が見られることが判明した. また,課題(4)では,清代口語と比較する口語作品の候補として,『ともにある日々(金婚)』(2007年9月北京電視台),『大佐の娘(大校的女児)』(2007年12月中央電視台),『にっこり笑って(笑着活下去)』(2008年3月北京電視台)などいくつかの連続テレビドラマに取材し,北京語・共通語とその口頭表現に関する新しい知見を得た.
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