研究概要 |
当初の計画では,イランやコーカサスに調査に赴く予定にしていたが,社会情勢が不安定である如くであったのでとりやめた。そして,2009年8月-9月にかけてベトナム語の追加調査を行い,更に中国・延吉に赴いて延辺朝鮮語の調査を行い,続いて中国内モンゴル自治区フホホトにてモンゴル語の調査を行った。 2009年9月には韓国・全州で開催された第一回訳学書学会において明代中国語に関する研究発表を行い,韓国・牙山の鮮文大学校中韓翻訳文献研究所を訪れて朴在淵所長と朝鮮資料による中国語史研究について討議を重ね,同研究所所蔵文献の調査も行った。その後,中国・威海にて第三回中韓日中国語学国際シンポジウムでこの三国を始めとする東アジア諸言語交流に関する発表をした。2009年12月には韓国国語学会の大会に出席し,かつ韓国国会図書館にて『翻訳朴通事』の原本の調査をした。 このようなフィールド調査・文献調査に加えて,理論的考察も進め,2009年12月には国立国語研究所のプロジェクト集会で,中国語上海方言・チベット語ラサ方言・フランス語において音節が短くなることと音節声調が語声調に変化することなどの一連の音韻変化についての関連について発表した。 以上の研究によって,東アジアの広範な言語に基づいて喉頭が制御している音調・phonationtype・長さなどの特徴の相互関係が実に多種多様であることが観察され,また文献によっても跡づけられた。
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