本研究は、「呼びかけ語」をディスコース・マーカーと解釈し、現在では知ることのできない近代英語期の口語表現における、その特徴を捉えようとしたものである。裁判記録を集めた約12万語からなるコーパスをデータとして使い、「呼びかけ語」の使用について、歴史語要論的視点から量的・質的分析の両面から探ろうとした研究である。研究の第一歩は、基本的なデータ環境を整えることであった。コーパス中の「呼びかけ語」を探し、その言語的な特徴をマークした。次に、そのデータを使って、「呼びかけ語」を使う対話者の社会言語的・語用論的特徴を量的に分析し、一般的な使用傾向をみた。さらに量的分析に基づいて、一般的な使用傾向から外れた例外的使用例について、文脈のなかで、文体論的視野から質的分析をしようとしている。また、先行研究のドラマの分析との比較によって、裁判という特殊な言語的環境における特殊性を探ろうとしたものである。
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