1)ルター、ミュンツァー、ツヴィングリなどのプロテスタント神学者とエック、エムザー、ムルナーなどのカトリック神学者との文書による論争においては極めて多彩な修辞的手段が使用され、高度な思想的対決が行なわれたことが確認された。 2)農民や都市市民などの庶民に対しては、プロテスタント陣営の神学者はやさしい言葉使いによって彼らの宗教観に関する啓蒙に努めたのに対し、カトリック陣営の神学者は神学的問題に世俗の庶民を関わらせてはならないとの考えから、庶民の啓蒙は避ける傾向にあった。 3)ただ、カトリック神学者のムルナーは庶民に向けて阿呆文学の著作によってルター派の思想を批判した。 4)上のような相手によって言語と文書の使い分けがなされることから、単に言語の分析にとどまらず、さまざまな文書類型との関連を顧慮することが重要であることが明らかになった。 5)ベルリン自由大学にFranz Simmler教授を訪問し、テクスト類型について意見交換をした。また、大学図書館においてテクスト理論に関する資料の収集をした。 6)研究成果を2編の論文にまとめ、学会誌に発表した。
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