研究課題
異言語、異文化をもつ話者の感情音声(emotional speech)の生成過程の発見をテーマに研究を進めた。今回、実験の対象とした言語はアメリカ英語、日本語、ロシア語である。1.アメリカ英語、日本語、韓国語を対象とし、EMA(Electro-Magnetic Articulograph)実験を実施した。この実験では、被験者と対話相手が隔離された部屋に入り、マイクロフォン、イアフォンを用いて自然な形式で対話を行った。会話の内容は、被験者の私生活に関して、特に感情を呼び起こす事柄をテーマとし、リハーサル抜きで行った。2.ロシア語を対象とし、ラメント(lament)に関する研究を数多く発表しているロシアの民族音楽学者に依頼し、自然発話と歌唱及びそれらをラメントした(悲嘆の声で発声すること)時の録音を行い、EMAを採取したほか、声帯の高速イメージングの実験も合わせて行った。[結果]アメリカ英語では、悲嘆の声、喜びの声はいずれも上唇を後退・上昇させて生成され、また呼気の上昇に伴う高音によって特徴づけられる。また悲嘆の声では第4フォルマント周波数が下降し、これは喉頭の下降を示唆している。ロシアの悲嘆のラメントでは、最後の息を吸い、すすり泣く部分で、眉をひそめ、同時に上唇を後退させる。これはアメリカ英語、日本語の悲嘆の声でも見られる。韓国語の悲嘆の声はbreathyであり、怒りの発声と比べると柔らかく、また低音である。本研究では、自然な感情音声に関する調音データを収集しているので、体系的なコーパスを蓄積することはできない。しかしこのようなデータベースが斯界で活用され、感情音声の生成メカニズムの解明に貢献することが期待される。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (18件) (うち査読あり 15件) 学会発表 (11件) 図書 (3件)
Speech Prosody 2010
ページ: 2a-26
ページ: 2a-11
ページ: W1-05
Interspeech 2010
Intersinging 2010
The 4^<th> World Voice Congress
Neuroscience Research, Abstracts of the 32nd Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society 6.1
ページ: S130
昭和音楽大学紀要
ページ: 13-26
International Symposium on Biomechanical and Physiological Modeling and Speech Science, Feb.20-22, Kanazawa, Japan
ページ: 63-67
Proc.ASJ '2009 Fall Meeting
ページ: 499-502
APSIPA2009
ページ: 538-544
ページ: 530-537
InterSpeech2009
ページ: 1743-1746
Acoustical Society of American
ページ: 2754-5
Mouton de Gruyter, Special Issue on Laughing. conditional accept
Acoustical Science and Technology. conditional accept
J.Phonetics. conditional accept