幼児が文を理解する過程は、大人と同じなのかどうか日本語を対象に調査を行った。日本語の関係節(例:「男の子が見ている女の子」)やかき混ぜ文(基本語順でない文)(例:女の子を男の子が見た)には、名詞句移動に関する処理負荷が大人の文理解において観察される。しかし幼児の場合は、大人と同じ意味解釈を行うにもかかわらず、必ずしも名詞句移動に関する処理負荷は観察されなかった。これは、幼児の場合、格助詞の利用に関する言語知識と情報構造の利用に関する談話・語用論的能力が、未だ発達段階にあることが原因だと考えられる。
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