研究課題
平成20年度は、4年間にわたる本研究課題の2年目であった。そこで、カンボジアでの資料収集を継続する一方、学会発表や論文執筆という形での成果公開を進めた。また、平成20年度から、科学研究費補助金基盤研究A(海外) 「大陸部東南アジア仏教徒社会の時空間マッピング:寺院類型・社会移動・ネットワーク」 (研究代表者、林行夫京都大学地域研究統合情報センター教授)の研究分担者となった。この共同研究では、植民地期以降のカンボジア仏教の全国的な展開を調べることが求められており、本研究課題のテーマと重なり合う点が多い。そのため平成20年度は、夏季休暇に1ヶ月、冬季休暇に10日間、春季休暇に3週間、カンボジアでの調査を実施し、両者の科研費から旅費を支出した。論文としては、アジア経済研究所からの依頼を受け、同研究所が刊行している『アジア経済』に掲載された学会の活動を紹介する文章と、平成19年度に行なった口頭発表の内容をまとめた報告書が刊行された。ともに査読付きの論文ではないものの、前者の雑誌はアジア研究の分野で評価が高い雑誌であり、こうした雑誌に寄稿することは今後の研究の展開にとって有益であると考える。また平成19年の冬に、植民地期のカンボジアにおける仏教政策と、それに対する仏教界の反応をまとめた論文を脱稿した。しかし、原稿用紙換算で100枚近くになったことから、2編の論文として分割して投稿するか、あるいはワーキング・ペーパーのような形で先に全文を公開するか、各方面と検討している段階である。さらに、カンボジアのシェムリアップにあるフランス系の研究組織Center for Khmer Studiesから、数年前に寄稿し、査読を通過していた論文が平成21年中に刊行されるとの連絡を受けた。
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高松晃子編『日本学術振興会人文・社会科学振興プロジェクト研究事業平成20年度研究報告-伝統から創造へ3』日本学術振興会人文・社会科学振興プロジェクト研究事業「伝統と越境-とどまる力と越え行く流れのインタラクション」刊
ページ: 7-19
アジア経済 49巻10号
ページ: 57-69