研究課題
平成21年度は、カンボジアでの資料収集を継続する一方、学会発表や論文執筆という形での成果公開を進めた。また、平成20年度から、科学研究費補助金、基盤研究A(海外)「大陸部東南アジア仏教徒社会の時空間マッピング:寺院類型・社会移動・ネットワーク」(研究代表者、林行夫京都大学地域研究統合情報センター教授)の研究分担者となっている。この共同研究では、植民地期以降のカンボジア仏教の全国的な展開を調べることが求められており、本研究課題のテーマと重なり合う点が多い。そのため平成21年度は、夏季休暇と春季休暇に1ヶ月ずつ、カンボジアでの調査を実施し、両者の科研費から旅費を支出した。論文としては、京都大学G-COEプログラムのワーキング・ペーパーとして、植民地期のカンボジアにおける王国政府およびフランス行政当局による仏教政策と、そうした政策に対応する仏教界の改革運動を扱う論文を刊行した。査読付きの論文ではないものの、刊行と同時にPDF版が公開されており、多くの読者を獲得できると考える。実際に、他のカンボジア研究者による論文2編での引用がなされている模様である。学会報告は、いずれも依頼を受けた研究発表であった。日本国際文化学会の全国大会でカンボジアの遺跡とナショナリズムの関係を論じたこと、同志社植民地研究会において本研究課題の次なるテーマである言語政策と仏教界の関係を論じたことは、本科研費の最終年度にあたる平成22年度に、カンボジアにおける正書法の確立や新造語といった問題を論じるための準備になったと考えている。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件)
京都大学グローバルCOEプログラムワーキングペーパー No.85
ページ: 27
山川出版社編集部編『世界各国便覧』 新版世界各国史28
ページ: 17、22、29、31、43-44、46-49、53