研究概要 |
本研究では,複数の異なる調査法を用いた方言調査(社会言語学的調査)を同時に実施し,それぞれの調査で得られたデータの比較・検討を行う。その作業を通して,各調査法間の差異(調査誤差)を計量的に把握し,それぞれの調査法の妥当性・信頼性を検討する。具体的にはインフォーマントの選定方法(有意抽出法と無作為抽出法),データ収集の方法(質問法と自然談話収集法)をそれぞれ変更した調査を行って,相互の結果を比較し,分析・考察を行う。また15年前に社会言語学的多人数調査が実施された地域を調査対象に選定することで方言変化の実時間データを蓄積する。 本研究では上記のとおり,複数の調査法による言語調査を実施することになるが,本年度はこのうち「有意抽出法」によって選出されたインフォーマントを対象とする「質問法」調査を中心に実施した。15年前に同様の方法で調査が行われた福島県南相馬市小高区を対象とし,実時間データの蓄積も同時に試みた。100名弱のデータを収集したが,目標数に若干不足するため,20年度も引き続き補充調査を実施する予定である。15年前の調査データについては,実施母体である東北大学より調査票,録音テープを借り受け,電子データ化を進めた。調査結果の整理・再分析を行っている。 代表者,分担者,協力者が-堂に会し,調査方法,実査,分析法に関する検討会を19年6月に開催し,その後もML等を用いて打ち合わせを行った。特に20年度以降に実施する「自然談話収集法」の具体的方法についての検討を進めている。
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