研究課題/領域番号 |
19520387
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
高崎 ミドリ お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (30137822)
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研究分担者 |
佐々木 泰子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (20251689)
杉本 明子 明星大学, 人文学部 心理・教育学科, 准教授 (30311145)
立川 和美 流通経済大学, 社会学部, 講師 (70418888)
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キーワード | 国語学 / 日本語学 / 談話分析 / 言語行動 / 著作権 |
研究概要 |
平成19年度はデータ採集と、先行研究の整理を行った。何回かの研究会で、膨大な先行研究を整理・検討した結果、本研究の中心テーマである「言語行動としての引用表現」という角度で、談話を研究したものは少なく、文法現象や話法としての捉え方が多いということが確認され、かつ何を「引用」とすべきかという研究の出発点となる議論ができた。データ採集は、独話と対話を合計14場面のべ約12時間分採取し、それらの文字起こしも9割程度は終了した。会話参加者の年代も20代から50代まで、各年代にわたり、日常会話や学生指導、相談など内容や話題も多岐にわたる材料がとれた。また許可を得られたものについては録画もできたので、弄言語行動もあわせて観察することができる良いデータが揃った。 パイロットスタディ的に、広義引用表現を拾って分析したところ、前置き(「〜て言ったらおかしいけど」「言ってみれば〜」)や伝聞(「〜ってわけよ」)、緩和(「〜っていう感じかな」)、流行語的な言い方(「だめじゃん、○○とか言ってて」)など、ひっきりなしに引用形式が使われ、モダリティ的な機能さえはたしている。またコミュニケーションのストラテジーとしても、座を盛り上げ、ニュアンスを伝えるのに有効な言語形式であることが確認できた。また、これは部分的ではあるが、有名人や他の共通の知人の言葉を引用するときは、言い方や表情なども模倣するような感じで、それまでの調子と変えている場合もあった。その結果非難やからかいの感情が明確となっているケースも観察され、これらをどのようにデータ化するかを模索中である。 そのほかいくつかの興味深い現象が観察されたので、これらを研究角度としてとりあげることを次年度にわたって検討していく。
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