本年度は、以下の作業を行った。 (a)個々の文法項目の記述 昨年度に引き続き、山形市において臨地調査を行い、疑問文および疑問文と共起する文末詞ガ・ヤ等の記述を行った。また周辺都市(寒河江市および天童市)でも調査を行い、山形市方言で用いられる文末詞の分布地域を確認した。いずれも先行研究がなく、学界に新たな知見をもたらすはずである。2009年8月公刊予定。 (b)談話データの収集と文字化 昨年度に引き続き、山形市生え抜きの高年層2名による自然談話を収録し、一部文字化を行った。当該方言のデータの蓄積に寄与する。 (c)理想的な文法記述の追究 昨年度に引き続き、世界各地の言語を記述した文法書や類型論関係の著書・論文をレビューし、その取り上げた言語項目の範囲、構成と内容、データの質・量・提示方法などについて整理した。本研究分野の今後の活性化に寄与するものと思われる。 (d)方言文法の変化のメカニズムの整理 方言は標準語とは異なって規範の力の及びにくいことばであり、変化が起こりやすい。本年度は、記述のための補助作業として、方言とはどのように変化するものなのか、そのメカニズムを整理して公刊した。本研究分野の補助的な参照枠となる。
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