本年度は、4年計画の二年目に当たる。 昨年度購入のコンピュータによって、データ入力を進め、書陵部蔵『春秋経傳集解』全三十巻・鎌倉期点の字音データを入力を完了した。また、毛利博物館蔵『史記』院政期点、東洋文庫蔵『論語』鎌倉期点、同『中庸』鎌倉期点、東京国立博物館蔵『群書治要』鎌倉期点の原本調査をし、その漢字音注をデータ化することができた。 この書陵部蔵『春駄経傳集解』鎌倉中期点(三十巻)はじめ、毛利博物館蔵『史記』院政期点、東洋文庫蔵『論語』鎌倉期点、同『中庸』鎌倉期点、菓京国立博物館蔵『群書治要』鎌倉期点は、本研究において、規範的な漢字音を記した資料として位置づけられる。 それらのデータをも活用し、本年一月末に、『平安鎌倉時代における日本漢音の研究』(汲古書院、研究篇1068頁・資料篇690頁、全二册)を刊行することができた。 さらに、『増補 親鸞聖人真蹟集成』(全十巻)を購入し、親鸞遺文の漢字音研究に取りかかった。これは、当初の計画では、21年度に計画していたものである。 以上、本年度は、規範的な字音を記す資料の整理に加え、非規範的な文献のデータベース作成に取りかかることができた。本硬究全体としては、進行計画を上回るペースで進んでいる。 来年度は、設画通り、鎌倉遣文の仮名文書入力を完成させ、親鸞・恵信尼文書の仮名書き漢語入力を進行したい、この作業は、膨大であり、最終年度にずれこむ場合も有りうるが、本研究の完成に向け、着実に進みたい。
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