研究概要 |
本研究は、遠藤熊吉・西成瀬のことは教育について、従来の「共通語教育の成功例」という国語教育の位置づけを越えて、当時の日本語教育としての国語教育や伊澤修二の訛音・吃音矯正教育や佐久問鼎の音声学理論中にその出自が見いだせることを仮説としている。そのため、その学術的根拠の裏付けをすることを主目的としている。また、西成瀬の言葉教育のもたらしたコミュニケニション能力の向上をいう側面を重視し、国語教育の実践に役立てることも目的としている。 19年度は、このために以下の調査・研究を行った。 (1)戦後検定教科書における「方言と共通語」教材の収集とデータベースの作成 西成瀬で行われてきた言語教育が、国語教育全体の中でどのような位置づけであるのか、学習指導要領と教科書教材の変遷の中に位置づける。 小学校と中学校の教科書教材における「方言と共通語」教材を、教科書研究所附属教科書図書館と教育政策研究所教育図書館に出向いて収集し、それをもとに教材データベース(教材名・本文)を、入力・作成中である。小学校のものは、ほぼ完成しつつある。 (2)遠藤熊吉生家における調査 遠藤家所蔵資料の中の佐久問鼎著『日本音声学』には、朱書きの書き込みがある。に音声学の理論的裏付けが未確定であった。秋田県では,伊澤修司を講師として、「視話法」による発音矯正教育が行われたことは明らかになっているが、遠藤の著作に伊澤や佐久間の名はなく、積極的に理論的根拠を求めるものではなかった。今回の調査では、遠藤のご家族の許可を得て、撮影することができた。今後詳しく分析する予定である。 (3)秋田県立図書館等での資料収集 秋田県立図書館において、明治以来、登行されている雑誌『秋田教育』などを収集した。秋田の方言矯正が、他の教育者にどのように認識されていためか、また、どのように進められていっためかを明らかにする基礎資料となった。
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