研究概要 |
本年度では、語彙意味論的アプローチを、wise,smart,kind,stupid,brave,rash,foolish,cowardlyなどのMP形容詞に応用し、これらの形容詞が示す構文、構文交替を検討した(It is wise of John to do so./John is wise to do so.)。具体的には、不定詞句をとるMP形容詞に、Multiple Tier Analysisを援用し、Agentive-TierとEvaluative-Tierの複層の意味を仮定した。この分析の夜と、MP構文のSentientな項は、Agentであると同時に評価の対象でもある。また、不定詞句はEvaluative-TierのGround項により認可される。 さらに本研究は、MP-A形容詞のゼロ形態素分析を提案した。この分析で形容詞は、MP-B形容詞に受動的なゼロ形態素が付加した複合形容詞と分析され、外項を欠く非対格述語となる。MP-B構文とMP-A構文のヴォイスの違いは、こうしてゼロ形態素によって説明された。 MP-A構文のof-NPは評価の対象に加えて、動作主役を担っている。MP-A構文に、しばしば、ofの代わりに動作主を表すbyが現れるゆえんである。二層の意味成分がもたらすMP形容詞のトータルな意味は、sentient項について、不定詞句を根拠として、その行為の様態的評価を述べることである。この意味から、不定詞句の行為を表す意味と、of-NPによるコントロールが帰結した。
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