研究課題/領域番号 |
19520421
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
渡辺 秀樹 大阪大学, 大学院・言語文化研究科, 教授 (30191787)
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研究分担者 |
大森 文子 大阪大学, 大学院・言語文化研究科, 准教授 (70213866)
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キーワード | メタファー / 直喩 / 動物名 / 語義拡張 / 認知言語学 / 歴史的変化 / 構造性 / イディオム |
研究概要 |
これまで3年間の研究期間に、ほぼ全ての動物名の人間比喩義のリスト化を完了し、それらに基づいて、イヌ科、ネコ、鳥類、昆虫の人間比喩用法についての研究論文を発表した。当初計画にあった動物名のうち、魚類・爬虫類・両生類名の分析がまだ残っている。平成21年度の研究実績としては下の2点がある。 英語の哺乳類の名詞は多く、家畜動物名だけをとっても「馬」「牛」「羊」「豚」とそれぞれが総称名と雌雄や成獣と仔、用途別の名称など上位語と下位語の明確な構造性を持って比喩義とともに使用されている。加えて人に身近な動物の名前は、転用動詞や転用形容詞の用法も発達さえており、複合語の第2要素として生産力を持っているため、ニュース英語などジャンル別の使用例などの検討を含めると、一つの種名を扱うだけでそれぞれ1年が必要であることが判明した。21年度にはcat「猫」を上位語とする関連名詞群と猫の形容や動作を表す言葉の人間比喩用法を詳細に分析した。 こうした研究の成果を取り込んで、日本英語学会全国大会のシンポジウム「これからのコロケーション研究」において「英語史とコロケーション」のテーマで発表した。これは司会者の熊本学園大学教授堀正広氏が、本研究者の研究方法、つまり動物名比喩の歴史性と構造性を中世英語頭韻詩におけるメタファーの研究と並行して行っていることに共鳴し、特に動物名の比喩における連語の実態を示すよう要請されたものである。つまり、メタファー研究には比喩義成立の過程と歴史性を論考する必要があることが認識されたことを意味し、これは本研究の学界に与えた影響といえる。
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