研究課題/領域番号 |
19520422
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大森 文子 大阪大学, 大学院・言語文化研究科, 准教授 (70213866)
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研究分担者 |
渡辺 秀樹 大阪大学, 大学院・言語文化研究科, 教授 (30191787)
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キーワード | 概念メタファー / コーパス / 感情 / 自然現象用語 / 動物用語 / イディオム / 対義関係 / 類義関係 |
研究概要 |
思考を司る概念メタファーを具現化する表現例を大規模コーパスから収集、分析することにより、抽象的概念領域を具体的概念領域からのメタファー写像により理解する人間の創造的概念形成メカニズムの解明を目指すという本研究課題を遂行するため、本年度は、昨年度に引き続き、大型コーパスBritish National Corpus(BNC)を主たる調査対象とし、新聞コーパスThe Times Digital Archive 1785-1985や各種辞典類を援用し研究した。自然現象用語を媒体とした慣用メタファー表現を検索することにより、感情のプロトタイプ特性を究明するとともに、辞典類に掲載された感情イディオム、文学テクストに見られる感情メタファー表現の中から、動物を指す語あるいは動物関連語を媒体とするものを対象とし、特定の感情の喩えとして用いられる動物用語の傾向から<動物>領域と<感情>領域との問の写像の構造性を探るとともに、ひとつのテクスト内のメタファーの一貫性について観察し、同種の動物を媒体として用いても、その動物に対する詩人の捉え方如何によって描かれる感情が微妙に異なるという、写像の多様性について論じた。 また、BNCから検索した<喜び>、<悲しみ>、<希望>、<恐怖>、<絶望>といった個別感情を表す慣習メタファーにおける写像の体系的特徴について考察し、一般的に対義とは認識されていない感情ペアの対義関係が、用いられる根源領域の相違の観点から特徴づけることができること、一般的に類義関係にあるとは見なされていない感情どうしが意味的に近い関係にあることが、写像の類似性の観点から明らかになることを解明した。この研究は、Peter Lang社から刊行されている言語学研究シリーズのLodz Studies in Languageの近刊に執筆を依頼されて発表する予定である(印刷中)。
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