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2008 年度 実績報告書

メタファー発話の解釈プロセスに関する認知語用論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19520424
研究機関奈良女子大学

研究代表者

吉村 あき子  奈良女子大学, 文学部, 教授 (40252556)

キーワード認知語用論 / メタファー / 発話解釈 / 類似性 / アドホック概念 / アナロジー / アブダクション / 推論過程
研究概要

Lakoff and Johnson(1980)によってメタファーがことばの綾(修辞)ではなく認識の綾であること、言い換えると、メタファーがことばの飾りではなく我々の認識の基礎になる現象であることが指摘されて以来四半世紀にわたって、認知科学、認知心理学、認知言語学及び認知語用論の領域でメタファー研究は大きく発展してきた。しかしコミュニケーションに見られるメタファー発話を人がどのように解釈して話者の意図した意味にたどり着くのかという発話解釈過程という視点からメタファーを扱った研究は極めて少なく、Carston(2002)によるアドホック概念による表意レベルの分析も、ストーリーベレルの類似性に基づくメタファーヘストレートには適用できない。本研究は、様々な類似性レベルに基づくメタファー発話の解釈メカニズムの解明を具体的目標としている。
平成20年度の研究において、対照、命題、ストーリーレベルの全てのメタファー発話の解釈過程に抽象化がかかわり、ターゲットとソースを含む上位スキーマが形成されることを明らかにした。しかし、対照レベルメタファーはアドホック概念形成によって説明可能である一方、ストーリーレベルはアナロジー解釈に類似しアブダクションロジックによる分析の可能性を含む。しかし全てのタイプのメタファーをアドホック概念のみによってもアブダクションのみによっても分析不可能であることを示した。メタファー発話解釈モデルの構築という視点から、現在仮定されているオンライン発話解釈プロセスとアブダクション・ロジックとの整合性を吟味しつつ、現在、Gentner,Holyoak and Kokinov(2001)The Analogical Mind:perspectives from Cognitive Scienceを出発点に、認知科学におけるアナロジー研究を再検討している最中である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 否定の語用論研究をめぐる境界問題2009

    • 著者名/発表者名
      吉村あき子
    • 雑誌名

      奈良女子大学文学部研究教育年報 第5号

      ページ: 57-69

  • [雑誌論文] ことばが面白いと思ったのは2009

    • 著者名/発表者名
      吉村あき子
    • 雑誌名

      『リレーエッセイ ことばと言語学を考える』言語学出版社フォーラムHP(http : //www. gengosf. com)

  • [雑誌論文] 書評空間 : ロビン・カーストン著, 内田聖二・西山祐司・武内道子・山崎英一・松井智子訳『思考と発話-明示的伝達の語用論』2008

    • 著者名/発表者名
      吉村あき子
    • 雑誌名

      月刊『言語』(大修館書店) Vol. 37No. 7

      ページ: 119

  • [学会発表] ノデハナイとワケデハナイ-日本語のメタ言語否定をめぐって-2008

    • 著者名/発表者名
      吉村あき子
    • 学会等名
      日本エドワード・サピア協会第23回研究発表会
    • 発表場所
      活水女子大学
    • 年月日
      2008-10-18
  • [図書] 言語獲得におけるメタ表示能力の認知語用論的研究2008

    • 著者名/発表者名
      内田聖二, 吉村あき子, 松井智子
    • 総ページ数
      94+iv
    • 出版者
      新踏社

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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