研究概要 |
本年度においては、初期近代英語期における歴史語用論的観点からの文法化・主観化研究に関して、特に2人称の主語付き命令文の文法化研究を行った。特に談話標識hark you, hear you, lo you, la youについて、これらの構文がいつごろ、どのようにして文法化し談話標識として機能するようになったのかを統語・意味・文体的観点から考察した。また、主語として用いられる人称代名詞が、youばかりでなくye, thou, theeなども見られるが、これらの人称代名詞と命令文の文法化との相関性にも着目した。 まずhark youにおいて、harkのあとの代名詞に着目し、代名詞ごとに用例を分類し、代名詞と文法化の程度との関連を調査した。代名詞の中でも、hark youが圧倒的に多く、この構文はかなりイディオム化が進んでいることがわかった。また、hark theeというコロケーションも多く見られ、なぜtheeが用いられているかを、文体的・意味的な観点から考察した。 また、hear youの場合は、様々な人称代名詞と共起している例がみられたが、そのほとんどが命題的な意味を保持しており、談話標識として使用されている場合は少ないことがわかった。Hearの場合は他動詞のため、目的語をその後に従えている例も多く見られた。 lo you, la youの場合は、間投詞的ではあるが、lo theeという目的格を従えている例も見られた。
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